副音声 final edition.
#70 LIMITED CAPACITY
叫びたいほどの歓びも、目を閉じるほどの切なさも。
あなたがくれた感情はすべて、澄んだ水に落とした一滴のインクみたいだった。
落ちた瞬間から縦へ横へと広がってく、赤いインク、青いインク。
あなたがそこにいる限り、それは永遠に続く気がした。
いろんなインクが混ざったら、いつか黒になるなんて、知らなかった。
070520
#71 DREAM MACHINE
どこまでも広がる甘い妄想を、誰か止めてと思う一方で。
この世界に入り込んで一生出られなくなってしまえば、とも思っていた。
本気で思っていた。
070513
#72 PAIN IN MY HEART
そうやって、かつては毎日あなたのことを考えていた。
それはやがて週一回思い出す程度になり、気がつけば三ヶ月くらい考えずに済んでいたりして、「ああもうすっかりふっきれたのかな」なんてふとあなたのことを思い出すと、まるでふさがりかけのかさぶたを剥がしたときのように、熱いなにかが滲み出る。
意外にも私の気持ちは毎日あなたのことを考えていた頃と大差なく、変わったことなんてなにもない気がした。
070213
#73 YEARS FROM HERE
でも、あのころ永遠に続くと思っていたもののほとんどが、今はもうここにない。
もう永久に戻ってこないのか、ひょっとしたら一時的に離れているだけなのか。ひょっとしたら、見えないだけで意外とすぐ近くにあるのかもしれないけれど、本当のところは解らない。
ただ解るのは、私にもとうとう執着心なるものが芽生えてしまったこと、ぐらい。
070122
#74 INCOMPLETE
忘れられない とかじゃなく。
抑えきれない とかじゃなく。
ただ私は後悔するのがとてもへたくそだから、燃えかすが全部燃え尽きてしまうまでは、とにかくここを離れられない。
ずっとずっと、離れられない。
070112