1031
 いつまで経っても、ジンクスに踊らされている私で居よう。
 昨日は黄色、今日は水色。明日はピンク?
 今はどんなに鮮やかな毎日に見えても、遠い未来に今を振り返ったら、この色も滲んでしまって、鮮やかでも何でもないかもしれない。ひょっとしたら限りなく黒に近いグレーなのかもしれない。けれど、私はそれを変える方法を知らないし、別段変えようとも思わない。
1028
 あまりに忙しかったり、心に余裕がなくなってたり、寝る間も惜しんでいたり、優しい言葉も涙も出なかったり、そんな毎日に合間を作って、上野動物園でデートらしいデート。
 癒されたのは、野生でなくてもありのままで生きる動物たちにか。変わらずに私を守り続けてくれるあなたにか。それとも、思いの外、まだ大はしゃぎ出来る自分にか。
 とにかく私が癒された事は事実で、その夜はとてもよく眠れた。
1025
 例えば、恋愛小説を読む。どんな恋愛小説にも、自分の現在や過去の恋愛と重なる部分が見つからなくもない。こじつけでも良い。だけど、それで「私は小説のような恋をしている/いた」と思うほど無知でもない。
 なんだかんだ言っても、自分はありふれている。その答えを得るためだけに、私は先人の詞を貪りたい。
 ハッピーエンドで無ければ無いほど、真実に近い。
1024
 五月の青空・あの夏のコト・誰かの恋の話・苺・私が泳ぐ為の水・今朝見た夢・憧れの女性の歌声・少し火を通した茸と野菜・お風呂の暖かさ・植物が生きていると感じる瞬間・彼のギターの音・大切な友達・常備酒の味・笑っているみたいな犬・炊き立ての白いご飯・恋が始まる瞬間のあの感じ。それから、君の、手・声・脚・足・髪・肩・匂い・眼・コトバ・コトバ・コトバ・約束。
 頭の中に羅列する、私の好きなもの。
 だって、妄想の中ではせめてシアワセな顔してたいし。
1023
 昨日は雨が降ったから、あなたを悲しませました。
 今日は天気がいいから、あなたに少し優しく出来ました。
 そして、あなたは大抵いつも変わらず、私の愛や我儘や気紛れを受け止めて、喜んだり傷付いたりするばかり。
 星占いの所為ばかりじゃないのも、知ってる。
1022
 相反するココロとコトバ、だとか。
 届かないキモチ、だとか。
 身に付かない読心術、だとか。
 そんなことのために、私は二十年も前から今もずっと変わらず、毎日毎日毎日毎日悩まされて生きているし、だから、きっと二十年後にだって同じことを言って悩み続けて、時々は成長していない自分を小さく笑うに違いない。
1020
 何かを諦めるのには、ものすごい勇気が要る。けれど、決して諦めないと決意をするのにも、同じくらいの勇気が要る。そして、そういうときに私は、自分が持っている勇気の絶対量が、とても少ないような気がして成らない。
 だから、そう。面倒くさくなって投げ出して、サイコロ振って結論を導き出してみたりして。
 それで、「潔い」とか言われてる。
1019
 ディア・マイ・フレンド。
 遠く遠く離れた場所で冬を迎えることになった一組の恋人達に、私はお揃いの耳ホッカをプレゼントします。
 きっと私の知らないところでは、お互いに何度もささやき合っているはずの、その愛の言葉を保温できるように。と、ささやかに願いつつ。
1017
 何を追いかけて良いのか解らない。けれど、貴方の後姿だけは決して追ってはいけない。私は、そんな女になる素質を十分に兼ね備えている只のオンナであるにも関わらず、そんな女として落ち着くことを見下している厭なオンナだから。矛盾だらけの毎日。
 目印も無しに一人で走るしかないのかも知れない。
 たとえ走って辿り着いた先に、何も無くても。誰も居なくても。
1015
 何もしなくても勝手に風化していくようなものがあるかと思えば、叩いても蹴ってもなかなか壊れないものもあると、きっと君は考えているのだろう。だけど、きっと本当は全てが終わりに向かっているんだ。文化遺産が人の手によって修復され保管されているように、何処かで生まれた思想や学問が人から伝えられ発展を遂げていくように、結局、人の執念だけが、かろうじて何かを未来へ繋ぐ原動力となっている、それだけ。
1014
 花嫁が投げたブーケは、本当は私の手にも届きそうなところに落ちてきたのだけれど、私は手を伸ばすこともなく、ただ、それを呆けて見ていた。
 私よりもそれを受け取るのに相応しい人が居たから。
 だけど、人の幸せそうな顔を見ると、見えない何かを信じてしまいそうになる。「何か」が何なのか解らないので、今はジンクスに踊らされたくない。
1013
 海では波と戯れ、山では風と馴染む。呑むなら酔う、食べるなら味わう。朝は爽やかに、夜は妖艶に。歌う場所では歌い、踊る場所では踊る。都会においては洗練を装い、田舎においては野生に還る。泣く場面で泣き、笑う場面で笑い、怒る場面で怒る。デジタルなものは左脳に、アナログなものは右脳に。賑やかな時には騒ぎ、厳かな時には黙る。言うべき事は言い、秘密にすべきことを隠す。愛するなら激しく愛し、愛されるときは溶けるほど甘える。
 その時に当たり前だと思うことをしているだけ。
 私は多重人格者じゃないのです。
1011
 心にもないようなことを言う。思いのほか強い言葉。傷ついた顔をする大切な友達と、それに対して何も出来ない私と。
 夢のくせに、それは哀しくて、とても切なくて、ムネが痛い。夢のくせに、私はそんなときばかり、何故か素直に泣くこともできない。
 目が覚めて、「ごめんなさい」と独り言。
1008
 何でもかんでも前向きに考えられるほどのお上昇志向じゃ無いけれど、何でもかんでもどうしようもないと思って投げ出して逃げ出すほどの意気地なしでも無い。だからと言って、何でもかんでも成るように成ると言って毎日を笑って過ごせるほどの楽観主義者でもない、とてもとても中途半端でそれゆえ中庸つまりとことん平凡きわまりない私たちには、自分で自分を愛してあげるよりも上等な癒しは無い、みたい。
 だから、あなたへ。ご自愛ください。私も。
1007
 あー、泣きたい。泣きたいなあ。
 なんて呟けば、あなたは多分「いつも泣いてるじゃん」とか何とか言いながら、笑うか怒るかするに決まっている。だけど、私が泣けばあなたもとても哀しそうな困った顔をするから、これでも割と我慢マックス。あなたの前では、もうこれ以上泣けない。
 でも、一人になると、もっと泣けない。
 レンタルの泣ける胸って、ある?
1005
 それは、初夏の匂い。五月の晴れた午前中に、毒々しくないキャンディを口のなかで溶かしながら、新緑の中を歩いていくときの感じ。夏が到来した事を、いち早く私に教えてくれる空にも似ている。熱くて、強くて、生々しい。
 夏が大好きな私は、秋が来ても冬が来ても、その匂いが側にあれば嬉しくなるし、その匂いが側にあるから元気でいられる。
1004
 気の早い女の子たちは、まだ2001年が沢山残っていると言うのに、早くもカラフルに並べられた2002年のスケジュール帳に群がっている。何年か前までは、私もそうだったけれど、今は、来年の自分が見えなくて、その輪に入っていけそうにない。
 去年買った黄色のアジェンダは、去年の私が思っていたほどには使われることもなく、部屋に置き去りにされている。
 私は鬼になって、空回りしていた去年の私を笑う。
1003
 フワフワした気持ちで。
 神保町あたりを宛てもなく歩いて。
 何となく見上げた東の空。
 丸くて大きな月があった。
 ゆうべなかなか眠りにつけなかったのは、多分、その所為。
1002
 金木犀がフワリと薫って。色彩感に溢れるような、色々なものを混ぜた複雑な味がするような、泣きたいんだけれど笑ったほうが良いような、大声で叫びたい反面とことん秘密にしたいような、ひどく嬉しくてとても切ない記憶を取り戻しそうになる。けれど、いつもハッキリとは思い出せない。あの場所に何が在ったんだっけ。
 秋が来るたびに感じる既視感。
 忘れたい事・忘れたほうが良い事・でも忘れない事。
1001
 考えて考えて考え込むのが癖で、本当は頭の中では結論なんてとっくに出てるんだ。だからこそ、考える事を放棄したくて堪らなくなるんだよ。だってさ、世の中には「考えれば解る」ようなことを、考えずに済ましてしまう人がこんなに多いんだもの。
 だから、考えてない振りをして。考えがない振りをして。
 そんな優柔不断もある。