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1231
何時だったか、君と歩いた道があり、君と眺めた空があり、君と感じた風があった。あれは夏で、草むらの中では忌々しい虫が私や君の腕とか足を刺し、痒みを感じながら、それでも私たちは其処に居た。
今もなおその道はあり、その空はあり、温度こそ違えど風もあり、君が隣になくとも私は生き、その場所に立つ。まるで季節だけが反転したかのように変わらない、けれど、本当は何回も夏が来て冬が来て、今に至っていることに気付かぬ振り。昨日のような記憶。
また一つ年を迎えて、やがて季節も反転。ただ、それだけ。
1228
よく冷えた空気と、よく晴れた青い空。乾いた宙に埃が舞うのがはっきりと見えて、喉をケホケホ言わせてみたり、いつもだったら見て見ぬ振りをするような浴室の壁の端っこのカビをとってみたり、何枚かのハガキを投函するためにポストまで走ってみたり。冬の匂い。冬の音。
何歳になっても、冬休みは冬休みで変わらない。
1225
なにはともあれ、偶然の上に幾層にも積み重なりゆく偶然を、運命と呼んでも許されるなら。いつだって、見えざる手が私を其方の方向へ導いてくれたらいいと思うのだけれど、愚かにも待ちきれない私は、一人で偶然を引き起こそうと躍起になって、只それだけで。
それも運命だったのだと、穏やかな顔で笑う日が早く訪れますようにと、祈って、祈って、祈って、祈って、祈って。メリークリスマス。
1219
<解ったようなこと> は、それなりに筋道を立ててものごとを考えることが出来るようになれば、子供にだって簡単に言える。
<解ったこと> を、きちんと他人に伝わるような言葉としてアウトプット出来るのは、筋道を立てて考えることを知る以前の幼い子供? あるいは綿密に組み立てられた論理よりもはるかに大切なモノの存在を知ってしまった大人?
両極端、ではなく。
1217
伝えたかったのは、綺麗ごとでは全くなくて、むしろ、恐ろしいほどくだらないと言われても否定できないような、唯一無二とは言わないまでも、オリジナリティが溢れまくっている、と思えた自分だけの秘密めいた目的を実現するためには、どうしても自然と覚えなければならない、最も原始的で人間くさいやり方なのでした。
答えは与えられるものじゃなく、自分で導くしかないってこと。
1212
繰り返すのはいつも同じ痛み。どうしたって避けられないだなんて、きみは笑うんだ。どうかしてる。どうかしてるよ。本当はたぶん同じ痛みに再会して少しだけ安心してるに違いない。やっぱり自分はこんな風にしか生きられない、とかなんとか。同じところをぐるぐるぐるぐる回って死んでいくのか。ぼくはそうしたくない。
だけど、気が付いたらまた、ぼくはいつもと同じ場所に行き着いてしまう。そして、少し諦めたしたり顔で言うんだ。結局これがカルマなのだ、と。
1211
此処で泳がむと思ひて潜つてみたのであるが、余りに水が濁つてゐる。顔を付けるのみにてもひどく気分の悪く成り、かやうな処ではとても泳げぬとて我は放棄せり。泳ぐことも、居ることさえも、すべて放棄せり。
のちに、この濁りたるは水ならず、おのれの眼なるに気づけども、ついには拒絶のみぞ事実として残る。
1210
頭の中で厭な妄想が暴動を起こす。初め月に一回だったものが、週に一回になり、三日に一回になり、遂には一日一回になって、今じゃ一日三回って食事の回数よりも多いのだから。こんな毎日に慣れていって、そして、これが当たり前になる。僕の脳味噌は筋肉のように鍛えれば発達するみたいだ。
今じゃ筋肉痛のような心の痛みすら無い。
1207
欲しいものなんて何ひとつ無い。けれど、失いたいものだって何ひとつ無い。ばかばかしいことばかり、可笑しい『此処』で『今』で、何ひとつ変わらないでそれでオッケーなら、きっと何も怖くない。なのに、私の周囲を絶えず流れていくものが、いつの間にか私をも流してる。知らない場所。実体なんて何も無い、少しずつ私の体内、蝕んでいく感じの何か。
さて、次はどちらへ参りましょう?
1203
たとえば、東の空が曇っているのに、西の空は綺麗に晴れている夕方。東側にある、どんよりとした灰色の雲を、西側から真っ赤な光がスポットみたいに照らして、とても危うい色を出すのとか、好き。
そんなものばっかり夢中になって見ている所為で、私もこんなに不安定で危うくなるのだろうか。
一体、晴れなのか雨なのか。昼なのか夜なのか。
1201
特定の人の声が聞きたいというわけではなく、何か言わなけりゃならない事があるわけでもなく、誰かとおしゃべりがしたくて、只それだけで、真夜中に電話をかけた。そんなことをするのはとても久し振りで、ものすごく照れくさくて、だけどとても楽しくて。
とうとう携帯の電池が切れてしまうまで話をして、それがまた面白くて、私は一人で「あはは」と声を上げて笑った。
たまにはこんな夜も。
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