0131
 私の場合は、格好良く生きることを目指すより前に、まずは、心地良く生きることを追求して居たいと思うのだ。動物的にというよりも、もっと根本的な生き物というレベルで──植物が、陽の当たるほうへ葉を伸ばすように──自分の欲を満たしてあげたい。
 格好良さは、それをクリアしたあとの話。
0130
 まったくアナタときたら、お腹が空けば周囲に威圧感を与えるほど苛々するし、機嫌の良い時は人の状況も省みずに浮かれるし、時々とても扱い難い。
 だけど、辻褄の合わないことがあれば丁寧に説明し、間違っていたことが発覚すればすぐに謝って訂正してくれる。そういう当たり前のことをあくまで当たり前に出来る人だから好き。
 いつでも正しくいられない事くらい、私にも解っているのだから。
0125
 あなたは、ちゃんと把握しているだろうか。
 ほんの些細な出来事でも唇の両端がキュと上がるくらい、とても何気ない言葉でも頭の中で小さな手が掴んで決して離さないくらい、ごく僅かな温度の変化で顔色が変わってしまうくらい、私の心がまだ柔らかいことを。
 把握していないからこその罪と、把握しているからこその罪と。
0124
 深呼吸。ゆっくりと、大きく。
 季節は、もうすぐでまた一回転だ、と思う。
 少しでも風向きが変わったら、それをきちんと感じとれる肌を持っていたい。何歳になっても。
0121
 メリットとデメリット。
 それらは常に表裏一体の関係にある、なんて、頭では充分に理解している筈の理論。此処でも、其処でも、みんながみんな平等に享受しているはずの、当たり前のこと。
 なのに、君により多くのメリットがあるように見えるのは──
 良い笑顔をしているから、なのかな。
0116
 世の中の人間は、誰も社会に適応できていない。程度の差こそあれ、それはすべての人に当てはまるのに、それでも社会を構成していかねばならない矛盾。きっと、その矛盾を差し引いても尚、このシステムは人が生きるためにまあまあ悪くないシステムなのだろう。
 そんな当然のことに今さら気が付いた僕は、自分を削って削って、毎日ナニカを磨り減らしていきながら、何もかもが削れた最後に残るものは何かなあ、等とぼんやり考える。
0110
 長い年月をかけてこの身に染み付いた妄想癖が、僕の生活をその現実感をだんだんだんだん侵食してゆくんだ。そのことで僕はちっとも困らないのだけれど、時々どうしようもなく泣きたくなるよ。
 だって、一番困ってるのは君だから。
 現実の僕と現実に対峙してくれる君だけだから。
0109
 恋に溺れてただ男を待つ女は、餌の前で「おあずけ」されている犬に似ている。待つ男が其処に現れるという最終目標が達成される瞬間までのすべては、単なる道程でしかなく、3分であれ3年であれ、その時までとにかく無為に過ごすことしかできない。その人の為だけに生きることしか出来ない。
 明日の自分がどうなっているかも解らないのに。
0108
 知らなければ良かった、と後悔するような事は、多いように見えるけれどよく考えてみるとそれほどでもない。知っていて良かったと心から有り難がる程の事も、ありそうで意外と無い。大概の事は知ったところで良くも悪くもそのまま素通りしてしまうような有象無象だったりして、にも関わらず、気が付いたら自分の中に浸透していたりする。人生はたぶん、そんなつまらなくて面白いことの繰り返し。
 だったら、その先にあるものは、そんなに大したものでなくても良いんじゃない? 踏み込んでみようか。
0103
 私はとても愚鈍であるので、目の前に美味しそうな優しさやら暖かさやらを差し出されたら、手を伸ばさなくては申し訳ないような気持ちになって、「お腹イッパイです」のひとことが言えません。
 君が常に見張っていて、いちいち「餌を与えないで下さい」と言ってくれたら、と願ってしまうのも、筋違いの話。知ってる。
0101
 平坦な道が、もしも永遠に続いていて、そこをずっと同じ速度で歩いていかなければならないとしたら、そこで一定の感情を保つのは、たぶん難しいのだろう。昇ったり堕ちたりしながら、自分にあるべきテンションを必死で守って生きていくことしかできないのだ、昨日も、今日も。
 とにかく――
 今だけは、死んだように眠らせてください。私が私であるために。