0428  
 ほまれ呼ぶ縁 夢を載せ
 宛てに雨露さゑ 分け遣りし
 恋ぞ云へども 形なく
 熱すら去ぬる 君追はむ
       irohanauta#04「あの日」
0426  
 彼女はとてもひねくれた人物であり、人を愛することはあってもそれを伝える言葉がひねくれていた。世間知らずな僕は、それを僕に向けられた唯一無二の愛だと勘違いした。
 今にして思えば、個人と個人を繋ぐ感情はそもそも唯一無二であり、どんなに愛の言葉がひねくれていても愛情そのものは人間に与えられた極めて自然な感情である。そういう意味で、あの頃の僕は彼女が凡庸であることに全く気付いていなかった。
 勘違いしていられたこと自体が、幸せなのだと気付く。
0422  
 ある特定の文字列を見ると、なぜか思い出される電話番号がある。そこには五年以上電話していないし、今は繋がるのかどうかさえもわからない。ただ思い出すだけだ。
 普段は暗誦することもないのだから、頭で覚えているわけではない。電話をかけてみようかと思いたって、その番号を指先が覚えているわけでないことにも気付く。
 それで、心というものが自分のどこらへんにあるか、なんとなく解ったような気がした。
0413  
 夜ぞ分け合う ひとしずく
 波を越へれり 無に飢えん
 夢おぼゑ居て 色射せば
 からだ気持ちの 熱止まぬ
       irohanauta#03「ほろ酔い」
0408  
 色ぞ壊せぬ 夜更けもゑ
 君の内して 居る御花
 常に明日へと 迎えられ
 去りゆく日夜(ひや)を また褒めん
       irohanauta#02「永遠」
0407  
 涙の数だけ強くなれるとか、あれ嘘。私たちは涙を流せばその数だけ自分の弱さと対面しなきゃならないじゃない?
 ただ、怪我をしたときに初めて不自由ない身体の便利さが解るみたいに、傷ついて初めて自分の心が思ってたよりはいくらか健全だったんだって気付くだけ。気付いたからってどうしようもないんだけれど、少しだけ誇らしく。